壹萬壹阡壹之本
QUAE SIT SAPIENTIA DISCE LEGENDO
2005.09.28 Wednesday
「夢先案内猫 」 レオノール・フィニ
「夢先案内猫 (L'Oneiropmpe)」 レオノール・フィニ(Leonor Fini)、 (北嶋 廣敏 訳)
136 p 工作舎
ホテルに泊まっていた『私』は、褐色と黒色の島模様のある魅力的な大きな猫と出会う。猫は私のベッドにまで来て、耳元で話しかけてきた。「私は夢先案内人(オネイロポンプ)だ。君にやってもらいたいことがある。この宿の中庭にある、黒い女性の頭の彫像を盗むのだ。」
そこから猫との不思議な世界が始まる。幻想小説。
なぜだか 睡魔に襲われながら。
実に不思議でわけのわからない話を読んでしまった。
絵に すれば もっとすんなり入っていけるが、彼女の世界が 垣間見える。
猫の描いてあるだろう画家の名前が列挙してあるのにほんの少ししかわからなかったのが残念。
2005.09.27 Tuesday
「東京美術骨董繁盛記」 奥本 大三郎
「東京美術骨董繁盛記」 奥本 大三郎
305 p 中央公論新社
目次
まえがき
三渓洞の巻―骨董は世につれ
壷中居の巻―李朝の陶器と小林秀雄
繭山龍泉堂の巻―中国の古陶
甍堂の巻―美はあらゆるところに
飯田好日堂の巻―茶篭の小宇宙
吉平美術店の巻―魯山人は正直で寂しい人
海老屋美術店の巻―渡りのオランダ
池内美術の巻―松永耳庵の想い出、美術商の幸福
春風洞画廊の巻―画の本当の値打ちとは
山中精華堂の巻―西洋での買い付けの苦労と愉快さ
水戸忠交易の巻―モダンな陶器の話など
澄心堂の巻―硯は文人の心の拠り所
小西大閑堂の巻―奈良の仏像
欧亜美術の巻―パキスタン、アフガニスタンの仏像
平山堂の巻―岩崎邸の食器
ギャラリー無境の巻―美術品に境界なし
はせべやの巻―古民具の光沢
小宮山書店の巻―三島由紀夫の目の光
あとがき
奥本氏を 知ったのは 今から10年ほど前のNHKの市民大学講座だった。えらく嬉しそうに虫の話をしていた。それからずいぶん彼の本を読むようになった。
今回は 東京の骨董店に インタビューする形式。
虫コレクターとしての経験が、骨董を仕入れるときの話にリンク。
教養が高い人だから わかる話もあるだろう。単なる素人のインタビューではない。なかなか面白い。
*壷中居の巻で、壷に書かれた漢詩を 読むが解読できず、友人にその詩を解説してもらう。曰く、「持つべきは、学のある友人である。」と。
う〜ん そんな友人を持てるとは、羨ましい。
いや私にも 少しはそういう 学のある友人がいないわけではないが。まあ 類が友を呼ぶので、お互い様だが。
*欧亜美術の巻での 盗掘云々の話は、そうだろうなぁと思って読んでしまった。わからない素人の新聞記者が多いに違いない。
最近は 漢字や文章でさえそうなんだから 中身を考えたら情けない。
嘘はいけない。創作もね。大勢が 真理なのか?
話はそれたが、ここに出てくる店は、北森鴻さんの書く旗師、骨董屋というより、服部真澄氏の書く仏々堂って感じかな。いやもっとスマートな・・・教養人。抹香臭い爺さんは出てこない。なかなか楽しめた。
305 p 中央公論新社
目次
まえがき
三渓洞の巻―骨董は世につれ
壷中居の巻―李朝の陶器と小林秀雄
繭山龍泉堂の巻―中国の古陶
甍堂の巻―美はあらゆるところに
飯田好日堂の巻―茶篭の小宇宙
吉平美術店の巻―魯山人は正直で寂しい人
海老屋美術店の巻―渡りのオランダ
池内美術の巻―松永耳庵の想い出、美術商の幸福
春風洞画廊の巻―画の本当の値打ちとは
山中精華堂の巻―西洋での買い付けの苦労と愉快さ
水戸忠交易の巻―モダンな陶器の話など
澄心堂の巻―硯は文人の心の拠り所
小西大閑堂の巻―奈良の仏像
欧亜美術の巻―パキスタン、アフガニスタンの仏像
平山堂の巻―岩崎邸の食器
ギャラリー無境の巻―美術品に境界なし
はせべやの巻―古民具の光沢
小宮山書店の巻―三島由紀夫の目の光
あとがき
奥本氏を 知ったのは 今から10年ほど前のNHKの市民大学講座だった。えらく嬉しそうに虫の話をしていた。それからずいぶん彼の本を読むようになった。
今回は 東京の骨董店に インタビューする形式。
虫コレクターとしての経験が、骨董を仕入れるときの話にリンク。
教養が高い人だから わかる話もあるだろう。単なる素人のインタビューではない。なかなか面白い。
*壷中居の巻で、壷に書かれた漢詩を 読むが解読できず、友人にその詩を解説してもらう。曰く、「持つべきは、学のある友人である。」と。
う〜ん そんな友人を持てるとは、羨ましい。
いや私にも 少しはそういう 学のある友人がいないわけではないが。まあ 類が友を呼ぶので、お互い様だが。
*欧亜美術の巻での 盗掘云々の話は、そうだろうなぁと思って読んでしまった。わからない素人の新聞記者が多いに違いない。
最近は 漢字や文章でさえそうなんだから 中身を考えたら情けない。
嘘はいけない。創作もね。大勢が 真理なのか?
話はそれたが、ここに出てくる店は、北森鴻さんの書く旗師、骨董屋というより、服部真澄氏の書く仏々堂って感じかな。いやもっとスマートな・・・教養人。抹香臭い爺さんは出てこない。なかなか楽しめた。
2005.09.24 Saturday
「血と油―アメリカの石油獲得戦争」マイケル・T.クレア
「血と油―アメリカの石油獲得戦争」マイケル・T.クレア 柴田 裕之訳
360 p 日本放送出版協会
目次
第1章 依存のジレンマ
第2章 死の抱擁
第3章 依存を選ぶ
第4章 ペルシャ湾岸の罠
第5章 安心できる場所はない
第6章 地政学の復活
第7章 ジレンマからの脱出
ハンプシャー大学に本部をおく「平和と国際安全保障に関する五大学研究プログラム」の理事を 務めるマイケル・T.クレア氏が、アメリカのおける、エネルギー政策と 国外の安全保障義務との分離、輸入石油への依存の軽減、ポスト石油経済への移行、これらの改革の必要性を示す。
本書では、アメリカのエネルギー資源の確保 サウジとの関係、中東との関係、さらに 今後その中東のエネルギー源の狙う国々との関係などよくわかった。
中東の複雑に入り組んで、ぼんやりしていた国名や現段階でのアメリカの情勢を 再確認。
360 p 日本放送出版協会
目次
第1章 依存のジレンマ
第2章 死の抱擁
第3章 依存を選ぶ
第4章 ペルシャ湾岸の罠
第5章 安心できる場所はない
第6章 地政学の復活
第7章 ジレンマからの脱出
ハンプシャー大学に本部をおく「平和と国際安全保障に関する五大学研究プログラム」の理事を 務めるマイケル・T.クレア氏が、アメリカのおける、エネルギー政策と 国外の安全保障義務との分離、輸入石油への依存の軽減、ポスト石油経済への移行、これらの改革の必要性を示す。
本書では、アメリカのエネルギー資源の確保 サウジとの関係、中東との関係、さらに 今後その中東のエネルギー源の狙う国々との関係などよくわかった。
中東の複雑に入り組んで、ぼんやりしていた国名や現段階でのアメリカの情勢を 再確認。
2005.09.22 Thursday
「「藪の中」の死体」上野 正彦
「「藪の中」の死体」上野 正彦
219 p 新潮社
目次
序章 現代ミステリーと法医学―森村誠一『精神分析殺人事件』の刺殺事件と、横溝正史『犬神家の一族』の連続殺人に触発される
第1章 あの迷宮入り小説に真犯人がいた―芥川龍之介『藪の中』の刺殺事件を解剖する
第2章 探偵小説の原点とマスコミ報道―ポー『マリー・ロジェエの怪事件』の水死体を探る
第3章 文豪が書いた「性」と「死」―谷崎潤一郎『鍵』の性交死を研究する
第4章 日本史にみる毒の系譜―松本清張『日本の黒い霧』の毒殺死体に学ぶ
第5章 昭和史最大の謎の死体―矢田喜美雄『謀殺下山事件』の轢死事件に挑む
終章 世界最古の法医学書と死者の人権―宋慈『洗冤録』の焼死体を看破する
小説の話だけでなく、最近騒がせた、
「つくば母子殺人事件」「ジョンベネちゃん事件」「和歌山毒物カレー事件」などごく最近の例もあげて書かれてあるので、面白くあっという間に読める。
最後の、
「誤りはすべて経験が乏しいために生じたものである」
は『洗冤録』の言葉だが何でも通じる気がする。
219 p 新潮社
目次
序章 現代ミステリーと法医学―森村誠一『精神分析殺人事件』の刺殺事件と、横溝正史『犬神家の一族』の連続殺人に触発される
第1章 あの迷宮入り小説に真犯人がいた―芥川龍之介『藪の中』の刺殺事件を解剖する
第2章 探偵小説の原点とマスコミ報道―ポー『マリー・ロジェエの怪事件』の水死体を探る
第3章 文豪が書いた「性」と「死」―谷崎潤一郎『鍵』の性交死を研究する
第4章 日本史にみる毒の系譜―松本清張『日本の黒い霧』の毒殺死体に学ぶ
第5章 昭和史最大の謎の死体―矢田喜美雄『謀殺下山事件』の轢死事件に挑む
終章 世界最古の法医学書と死者の人権―宋慈『洗冤録』の焼死体を看破する
小説の話だけでなく、最近騒がせた、
「つくば母子殺人事件」「ジョンベネちゃん事件」「和歌山毒物カレー事件」などごく最近の例もあげて書かれてあるので、面白くあっという間に読める。
最後の、
「誤りはすべて経験が乏しいために生じたものである」
は『洗冤録』の言葉だが何でも通じる気がする。
2005.09.21 Wednesday
「アルテミス・ファウル―妖精の身代金」オーエン コルファー
「アルテミス・ファウル―妖精の身代金」オーエン コルファー (Eoin Colfer )大久保 寛 訳
329 p 角川書店
12歳の 悪の天才少年・アルテミス・ファウルは、「妖精の書」を 手に入れた。彼は、コンピュータを駆使して 解読し、妖精「ホリー」を誘拐する。
そして身代金として 妖精の黄金を 要求する。
一方、妖精たたちは 物語に出てくるようなかわいい妖精ではなく ハイテクで武装した集団だった。
妖精が出てくるお話なんだけど ちょっと待ったって感じね。
今風にハイテクの武器を装備して戦っちゃうんだもん。
映画化されるらしい。
「悪のハリー・ポッター」「ダーク・ヒーロー」とかあるけど アルテミスって、憎めないんだなぁ。
児童書で 大人も楽しめる、こういう本を、オーバーノベルっていうらしい。
2005.09.19 Monday
「赤塚不二夫のことを書いたのだ!!」武居 俊樹
「赤塚不二夫のことを書いたのだ!!」武居 俊樹
318 p 文藝春秋
天才 赤塚不二夫氏 の担当者 武居氏が振り返って 彼の事を書いた本。
赤塚氏は今、脳内出血の手術で 一命を取り留めてはいるが 寝たきりで目を覚まさない状態なのだそうだ。
彼の生涯を 「おそ松君」6代目担当だった武居氏が 書きとめたのも何かの縁なのでしょう。
あの時代の「ひみつのあっこちゃん」も「おそ松君」も「バカボン」も「ア太郎」も見ているので ああそうだったのかと 懐かしく思い 『サンデー』と『マガジン』の攻防の裏には そんなことがあったのかと驚き、赤塚氏のギャグへの思いに驚き、ハチャメチャな人生に 何だか 涙も出てしまう そんな話だった。
一気に 読んでしまった。
それにしてもスタッフがすごい。
高井 研一郎氏、北見けんいち氏、土田よしこ氏、古谷三敏氏、他にも 有名な漫画家が 赤塚氏を支えていたようだ。
不思議な魅力のある人だったんだなぁ。
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