壹萬壹阡壹之本
QUAE SIT SAPIENTIA DISCE LEGENDO
2006.11.30 Thursday
「日本の「ミドルパワー」外交―戦後日本の選択と構想 」添谷 芳秀
「日本の「ミドルパワー」外交―戦後日本の選択と構想 」添谷 芳秀
236p 筑摩書房
戦後の日本は、平和憲法の枠内で、日米安保条約を結ぶという吉田茂の選択によって規定されてきた。
しかし この外交路線は 左右両政治勢力から攻撃され、「平和国家日本」と「大国日本」という国家像の分裂をもたらし、時にそれが日本外交の足枷となってきた。
戦後の日本外交をミドルパワー外交の視点から、捉えなおし 戦後 日本のねじれ、自縛的悪循環を 発掘し、日本外交の方向を 示す。
ミドルパワーとは どういう考え方か、大国主義では何故 まずいのか また 日本の外交を 今後どうすべきなのか、わかりやすく 書かれていて 読みやすかった。
2006.11.29 Wednesday
「国家の罠 外務省のラスプーチンと呼ばれて」佐藤 優
「国家の罠 外務省のラスプーチンと呼ばれて」佐藤 優
398p新潮社
目次
序章 「わが家」にて
第1章 逮捕前夜
第2章 田中真紀子と鈴木宗男の闘い
第3章 作られた疑惑
第4章 「国策捜査」開始
第5章 「時代のけじめ」としての「国策捜査」
第6章 獄中から保釈、そして裁判闘争へ
2002年、いわゆる「鈴木宗男事件」で背任と偽計業務妨害の容疑により逮捕された著者が 捉えた事件の内幕を 赤裸々に綴った手記。
逮捕前夜に 渦巻いていた外務省内部の権力闘争や 自民党の内部抗争、さらには 本件を「国策捜査」であると明言したという検事とのやり取りを、冷静に再現していく。
マスコミスクラムで 作り上げられた疑惑報道は、たとえ事実と 反していたとしても、後で、訂正することは出来ない。
確かのこの本を 読まなかったら、週刊誌の見出しの「快僧ラスプーチン」的な イメージのままだった気が する。
初めは 週刊誌的な興味で読んでいたが、先日読んだ「国際政治とは何か」とあわせて、日本のあり方をこの人は 本当によく考えておられたような気がする。
自分で 書いているのだから、多少の贔屓目を 差し引いても すごい。
大学で 神学専攻なので、「ラスプーチン」と 週刊誌は 書いたのだろう。しかしその、「ラスプーチン」においても、『平和主義者』だったという見方も あると 著者が書くように 本当に いろいろな考え方が 出来るので とらわれないようにしたい。
近衛が、上昇志向は ない(もともと天皇陛下に近い地位だから望むわけもなく)他人に 対してもそういう嫉妬心が なかったたように 書かれてあった。ココでは、鈴木宗男氏が やはり嫉妬心が あまりなく(彼の場合は努力なので)周りの人の嫉妬心が わからなかったと書いてある。
そういう意味では 近衛も 鈴木も、ちょっと 人の気持ちを 量り間違ったのかもしれない。
現在進行形の政界も 舞台なので、非常に 面白く読めた。
2006.11.27 Monday
「われ巣鴨に出頭せず―近衛文麿と天皇 」工藤 美代子
「われ巣鴨に出頭せず―近衛文麿と天皇 」工藤 美代子
435p日本経済新聞社
目次
第一章 茶色の小瓶
第二章 文麿誕生と明治の開明
第三章 鬱勃たる青春
第四章 西欧列強と大正外交の渦
第五章 昭和動乱―ナショナリズムの勃興
第六章 日華和平の困難―第一次近衛内閣へ
第七章 東亜の混迷と三国同盟―第一次から第二次近衛
第八章 日米交渉破綻―第二次から第三次近衛内閣
第九章 東條英機と木戸幸一
第十章 情報天皇に達せず
第十一章 決死の上奏文
第十二章 ハーバート・ノーマンと都留重人
終章 貴種の終戦
敢然と毒を あおぎ「米国の法廷」で裁かれることを拒絶した華族 筆頭近衛文麿。
彼は本当に弱い人だったのか?
幼い頃には、母と添えず、学生時代には、自らの門地ゆえに特別扱いされ不快な思いをし、英米本意の平和主義に異を唱えれば、先進国から睨まれ、分配の公平を言えば、危険思想と疑われる。英米との戦争に反対すれば、非国民と非難される。
彼はそういう人であったらしい。
工藤さんは 「近衛に惚れた」と言っていた けれど、私は シンパになった。
イメージしていた人とは随分違うし、教えられてきたことも(例えば、張作霖とか) 随分違ったことが 出てきているんだなとよくわかった。
昭和史を 知るうえで、一読を 勧める。
同時に読んでいる、国家の罠は、つい最近の話で 本人が 書いているから どこまでを 信じて言いのかわからないが、面白い。国家間のやり取りってすごい。
2006.11.27 Monday
「アジアンタムブルー」大崎 善生
「アジアンタムブルー」大崎 善生
326p 角川書店
葉子を 癌で失ってからというもの、R.Y.こと 山崎隆二は いつもデパートの屋上で 空を見上げていた。
アジアンダムは 淡緑色の葉が 茶色くなって チリチリと しおれていき、一度 ブルー(憂鬱?)に なったら、容易なことでは 蘇生しない。その枯れ行く、チリチリに なっている状況を アジアンダムブルーというらしい。
映画の広告で、阿部寛が 新聞に載っていたので、あ、借りてきた本だわと読んだが〜
はっきり言って、好きじゃない。
設定も お涙頂戴なのかもしれないけど 泣けず、何が言いたいのかって 感じでした〜。
主人公に魅力を感じないのよね。
これを 阿部ちゃんが やるのぉ? 考えられない。
韓流のほうが よっぽど 楽しい。
読み方が悪いのよね。ゴメンナサイ。
2006.11.20 Monday
「カクレカラクリAn Automaton in Long Sleep 」森 博嗣
2006.11.20 Monday
「デッドライン 」建倉 圭介
「デッドライン 」建倉 圭介
482p角川書店
第二次世界大戦で、欧州戦線に参加し、負傷して米本国に帰還した日系二世のミノル・タガワ(田川穂)は、ペンシルベニア大学に復学し、世界初のコンピューター開発計画に加わっていた。
しかし戦時中が故に 偏見が目が 厳しかった。
一方、踊り子日本人とメキシコ人の混血のエリーは どうしても 日本に行きたい理由が あった。
やがて 彼は それが 何を 意味するのか 知ってしまう。
話の流れにつかまったら勢いが止まらない。
結末は わかっている?のに、一気に 読ませる。
*第二次世界大戦の話では、
「エトロフ発緊急電」佐々木 譲
「ベルリン飛行指令」佐々木 譲
*移民の話では、
終戦後ではあるが、
「ハヤト」村上 早人 (終戦後の自伝)
「ワイルド・ソウル」垣根 涼介(ブラジル移民)
も 考えさせられるし、よかったなぁ。
もっと 現代に近く、アメリカを 舞台にしている、
「龍の契り―The secret agreement」服部 真澄
「鷲の驕り―The secret patent」服部 真澄
「GMO」服部 真澄
「ボーダーライン」真保 裕一
も…
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